13 Feb 2010

core season of New Media Art

 2月は東京でもメディアアートの季節。明日まで国立新美術館で行われている「Japan Media Art Festival」や東京都現代美術館で行われている「Cyber Arts Japanーアルスエレクトロニカの30年」だけでなく、先月末の東京藝大大学院映像研究科メディア映像専攻の「Media Practice 09-10」、19日からの「恵比寿映像祭」など様々なイベントが行われているのだけれども、行ってきた内容やそれに伴った講演やシンポジウムの中から印象に残った点を少し。

 まず、06日に行ってきたCyber Arts Japanの公式シンポジウム「アルスの30年」。アルスの創始者ハンネス・レオポルドゼーダー、芸術監督のゲルフリート・シュトッカー、クリスティーネ・ショップというアルスを30年支え、作り上げてきた3人とIAMASの坂根先生が登壇。第1部でゲリフリートがアルスの30年について簡単にプレゼンテーションした後に、第2部で”坂根アーカイブ”の中から日本人受賞者の作品を紹介し、最後にハンネスやクリスティーネなどがディスカッションするという流れだったのだけれども、内容が多すぎて2時間ちょっとじゃあ時間が短すぎたかな、もう少し時間を足して深いところまで聞きたかったというのが正直な感想。特に個人的はORFや州政府との資金サポート面の関係とか興味あったから。。

 ゲルフリートが話していた通り、リンツでメディアアートと市民との距離を最も縮めたのが"Cloud of Sounds"。今では10万規模の来場があるみたいだけど、これは本当にすごい。新しいテクノロジーで音楽や科学がどうインパクトを与えられるか、が明確に市民に伝わるし広がりも生む。あと、デジタルアーカイヴが30年間で4万も溜まっているのは一番の強み。全ての作品をデジタル化をしていくリサーチインスティテュートを創設してもっと加速するらしいし、ゲルフリートの言葉を借りれば"未来に行けば行くほど財産が溜まる"。これは、New Media ArtsはもちろんだけどCreative Cityを形成する上で最も重要視していかなければならないトピックだと思っているから、やっぱりアルスはすごい、というか本当に正統。正統なことを正統にすることって一番難しいから。

 他には、Future Lab.を活性化することで、企業とのコラボレーションを誘発していくことだったり、クリスティーネが言っていた通り”これからは、クリエイションをするための場としてのミュージアム”という位置づけにならないとなのはもちろんだけど、そのためのPrixの存在や直接的なコミュニケーションを大事にするネットワーク性、継続性だったり、勉強になることはたくさんだったし、何と言っても巨匠達の話を聞ける貴重な機会だった。



 国立新美術館で行われている「文化庁メディア芸術祭- Japan Media Art Festival」は、もう今年で13回目。去年も同じようなことを書いた記憶もあるんだけど、本当に年々来場者数が増えてきた。今年は展示をゆっくり見に行く日とシンポジウムの日、2回行ったんだけど、展示スペースは金曜の夕方ということもあってか、混み過ぎ!和田さんの作品なんて人気がすごくてオーディエンスは去年の3倍はいたのではないかな!もちろん来客数が増えることはすごく良いことなんだけど、もう少し大きなスペースで開催しても良いんじゃないかなーとも思う。作品間が近いせいか音もすごく混ざり合い過ぎで作品の良さが消えちゃっているものもあったし・・・。後は、撮影不可はどうにか改善してほしい。(これは国立新からのルールらしいけど)率直な感想はそんな感じかな。

 テーマシンポジウムは、04日に行われた「to create new culture」に参加。青木保前文化庁長官や前出の坂根先生、オーストラリアのacmiのキュレイターAlessio CAVALLARO、NYにあるeyebeamのエクゼクティブダイレクターAmanda McDONALD CROWLEYの4人が登壇。青木さんの基調講演の中で話していた「ベンヤミンの複製時代論から超複製時代の到来」ということや、見せる側と見る側における文化多様性による変化、速い情報と遅い情報との使い分けなどの他に、ディスカッションの中で話題になった「文化的変容の中でデジタル化による画一性の面もあり、似たものが増えているというのは否定出来ないが、バックグラウンドには違う」というものをきちんと見極めるリテラシーが重要だと感じたし、文化多様性を維持し新しい文化を生むためには、やはり高度なハイブリットを生むための新しいポジションのキュレイターや移動性の理解、どういうコンテキストの中で発表するかなどが重要というこを再認識させられた対談になってよかった。




 今年のOpening Titleすごく好き!Sooo COOL!!創られたのは、今年も原田大三郎先生だったはず。



 その他、横浜の新港で先月開催された藝大映像専攻科の「Media Practice 09-10」のこととかも書きたかったけど、長くなってしまったので、すごく気になった作品の写真だけ。


(TOKYO 16:50, Marina Tanaka, from:http://www.fnm.geidai.ac.jp/mp0910/)


(See You Again, Yusuke Sakamoto, from:http://www.fnm.geidai.ac.jp/mp0910/)


(Storytelling, Wataru Itoh)

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